グループ事業の概況

キョーリン製薬グループは、持株会社であるキョーリン製薬ホールディングス(株)のもと、主に医療用医薬品事業を展開しています。
医療用医薬品事業では自社創薬活動に積極的に取り組むとともに、新医薬品・後発医薬品(GE)の開発、生産、販売を行っています。
また感染関連事業モデルの構築を目指しています。

新医薬品等

新薬事業

「医療用医薬品」商品画像

新薬事業では、中核企業である杏林製薬(株)が医療現場で求められる新薬の創製・開発・製造・提供を通じて患者さんや医療に携わる方々に貢献してまいりました。これからもグローバル展開できる革新的な新薬を継続的に創出するとともに、特定領域(呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科)において高いプレゼンスを確立すべく事業活動に取り組んでまいります。

~創薬~

健康に対する医療ニーズが多様化・複雑化する現代、革新的な新薬創製の難易度はこれまで以上に高まっています。このような環境下、世界の製薬企業はサイエンス・テクノロジーの発展に取り組み、多くの新薬開発がなされたものの、未だ数多くのアンメットメディカルニーズが存在しています。当社グループはイノベーションを通じて社会的に有用で安全な製品・サービスを開発、提供し、会社の持続成長とともに社会的課題の解決に貢献すべく、企業活動を展開しています。新中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-」では、創薬力の強化に最大限注力し、革新的新薬の創製で世界に認められる企業を目指します。

強み 機会 リスク
  • 疾患モデル解析技術および低分子創薬技術を有する わたらせ創薬センターとキナーゼ網羅的解析技術を有する ActivX社の協働によりターゲット探索と新奇な化合物の創製が可能(独自の創薬力)
  • 線維化研究、感染症研究、炎症研究等をアカデミアやベンチャー企業と提携し推進(アライアンスによる競争力)
  • 蓄積された低分子創薬技術をもとに新たに見出した創薬ターゲットについて複数のファーマコフォアを獲得し、異なる基本骨格からの最適化研究を進めるだけでなく、新たなモダリティ(核酸等)による開発を同時に進め、シーズの多様化を図ることで成功確率を高める
  • AI創薬台頭による低分子創薬の効率化(膨大なコスト削減、開発期間の短縮)による当社創薬の優位性の低下
新中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-」
現行の重点研究領域・技術の重層化と、新たな研究領域・技術への挑戦を継続する 新薬候補品の医療における価値を明確化し、研究開発を推進する 創薬シーズを積極的に獲得し、多様性を高める
新中期経営計画の施策
これまで蓄積した研究領域・技術の重層化と新たな研究領域・技術への挑戦

杏林製薬(株)わたらせ創薬センターは疾患モデル解析技術および低分子創薬技術を有し、AX社はKiNativ(キナーゼの網羅的解析技術)をプラットフォームとする技術を有しています。それぞれのポテンシャルを最大限に活かし、新奇(ノーベル)な創薬ターゲットの創出に向けて、重点研究領域である線維化研究、キナーゼ研究において研究探索初期段階テーマの量的・質的な充実を図りました。線維化研究では、アカデミアとの連携により、iPS細胞やヒト組織を用いて発見した創薬ターゲットに対して薬理活性を有する医薬候補化合物の探索に積極的に取り組み、これまでの低分子をベースとした創薬プラットフォームに加えて、新規モダリティ技術(核酸等)も活用し、革新的新薬の創製に挑戦しています。

オープンイノベーションの推進

杏林製薬(株)は自社創薬を補完し、さらに強化する取り組みとして、早期探索ステージにある外部創薬テーマや候補化合物を積極的に調査し、自社が有する聴覚機能、膀胱機能、感染症等の評価技術基盤を活かして、スピーディに評価ができる体制の構築を目指しています。その中でアカデミアやベンチャー、国内外の製薬企業とのオープンイノベーションを推進しており、目指す創薬ターゲットに対して、様々な視点でアプローチしています。京都大学大学院医学研究科内に共同研究講座「呼吸器疾患創薬講座」を設置(2017年度)し、アカデミアが持つ病態研究力および基盤研究力を杏林製薬(株)の創薬力に融合させ、創薬の新規ターゲット探索を進めています。またエルサレム・ヘブライ大学の技術移転会社と呼吸器領域における疾患治療薬の創製における戦略的なパートナーシップを締結(2018年度)し、公益財団法人微生物化学研究会微生物化学研究所と多剤耐性菌に有効な抗菌薬を探索する共同研究を開始(2018年度)しました。
さらには新たな創薬基盤を構築するために外部から早期創薬シーズを積極的に獲得することにより、創薬シーズの拡充、疾患領域/モダリティの多様化、リスクの分散を図っています。

革新的新薬の創製に向けた取り組み

杏林製薬(株)では、3つのアプローチにより、創薬活動を推進しています。

新奇ターゲットの探索

探索初期段階の研究を強化し、スピード感をもって新奇(ノーベル)な創薬ターゲットの探索とそのターゲットに作用する革新的な新薬の創製に取り組み、創薬初期段階の研究を量的・質的に強化するために、ヒト(患者)、病態モデル動物組織や細胞を用いて、KiNativやゲノム編集等の技術を応用し、ターゲット同定とバリデーションの質的向上に取り組んでいます。重点研究領域として線維化研究の強化を進め、基礎研究力を保有するアカデミアとも連携し、ヒト由来の疾患iPS細胞等の先端技術を最大限に活用して医薬候補化合物を選択するための高いレベルの創薬評価を進めています。

モダリティの拡充

従来の低分子創薬に加え、中分子化合物、核酸医薬等の新たな技術を活用した化合物探索、さらには2019年度に導入した融合タンパク製剤への取り組みにより、新たなモダリティの可能性にも挑戦し、グローバルを見据え低分子医薬では達成できない治療ニーズに貢献する新薬の創製にも取り組みます。

創薬研究拠点の再構築

「わたらせ創薬センター」の写真

探索初期段階の研究から開発研究までの全ての研究拠点を集約した わたらせ創薬センターでは、薬理、合成、安全性、薬物動態および製剤・分析の研究分野が効率的かつ連携のとれた体制で創薬研究を進めています。各分野に精通した研究者は、組織の枠を超えたチームで研究活動を行う体制により、研究開発のスピードアップと質の向上を図り、世界基準の創薬研究を実現します。

継続的に革新的な新薬を生み出す体制の構築

「継続的に革新的な新薬を生み出す体制の構築」イメージ図

~開発~

キョーリン製薬グループは中期的な成長を支えるパイプラインの拡充を重要な経営課題の一つとして捉えており、特定領域(呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科)および感染症、希少・難治性疾患における開発パイプラインの拡充を図るとともに、自ら創製した化合物については早期のグローバル展開を目指します。

強み 機会 リスク
  • 呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科領域の製品開発におけるノウハウ・人脈・ネットワークを有する(特定疾患領域の開発力)
  • 効率的な臨床試験の実施、新薬の開発を進められる組織体制を有する
  • 治験(臨床試験)および新薬承認の厳格化による開発費用のさらなる高騰
  • 薬価制度改革による事業性への影響
新中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-」
導入対象疾患領域をFC3科(呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科)周辺、感染症、希少・難治性疾患とし、中期的な業績に寄与するパイプラインの拡充に積極的に投資する 自社でのPOC※取得を基本とし、早期のグローバル導出を目指す
※POC:研究開発の段階にある新薬候補物質において、その有効性や安全性がヒトで確認されていること
積極的なパートナリング活動の推進

杏林製薬(株)は経営戦略に沿ってアレルギー性疾患治療剤「デザレックス」をMSD社の関連会社より、過活動膀胱治療剤「ベオーバ」を米国メルク社より導入し、製品ラインアップの拡充を図ってきました。
2020年1月には米国 エイタイヤー社と同社が創製した間質性肺疾患治療薬「KRP-R120(ATYR1923)」に関するライセンス契約を締結しました。日本での開発、販売に関する独占的権利の取得により、今後日本で間質性肺疾患(肺サルコイドーシス等)での開発を進めていきます。
今後も当社グループの重点領域である呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科において高いプレゼンスの確立を目指し、ワールドワイドでのパートナリング活動により、グループの中期的な成長を支える製品パイプラインの充実に積極的に取り組んでいきます。

国内外企業とのパートナリング

「国内外企業とのパートナリング」イメージ図

開発品の動向

~海外収益の拡大 海外進出~

グローバル導出を促進し、海外収益を拡大する

杏林製薬(株)は2019年11月、韓国ジェイル社と過活動膀胱治療剤「ビベグロン(日本販売名:ベオーバ)」に関するライセンス契約を締結し、韓国における本剤の開発権、製造権及び販売権を供与しました。今後も引き続き「ビベグロン」のASEAN等への導出を積極的に進めていきます。
また杏林製薬(株)が創製した新規キノロン系合成抗菌剤「ラスクフロキサシン(日本販売名:ラスビック)」についても、現在海外導出に向けた活動を行っています。

アジアへの直接的進出に向けた取り組み

ライセンス活動と並行して、アジアを中心に将来の直接的進出の礎を築くべく、東南アジアでの市場調査・情報収集等を行いました。
2017年よりMeiji Seika ファルマ(株)のインドネシア子会社PT.Meiji を通じて環境除菌・洗浄剤「ルビスタ」を販売し、現地医療機関向けの環境表面消毒剤としてのプロモーションを継続しています。
さらにベトナム企業のビディファー社とは、同年GE医薬品の製剤技術に関するライセンス契約を締結し、2019年にはモンゴル企業モノスファームトレード社とGE医薬品の販売権に関する契約を締結しています。
今後は現地で収集した情報に基づき、直接的な進出に向けた検討を重ね、着実にステップを推進していきます。

~営業~

国内の医療用医薬品業界は、後発医薬品使用促進等の薬剤費抑制策に加え、新薬創出加算の見直しや長期収載品の薬価見直し等が実施されたことにより、市場構造の変化が起こっています。このような厳しい市場環境の中で当社グループは新中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-」を策定しました。その初年度となる2020年度を成長期のスタートとして捉え、新薬群の普及を最大限に加速していきます。また新たな営業スタイルとして感染症関連の領域では、治療薬のみに留まらず予防・診断も含め、トータルで課題解決を提案する活動を展開します。さらに時代の要請に応えるべく、リアル面談を中核にデジタル・AIを積極的に融合した情報提供を行っていきます。

強み 機会 リスク
  • 特定領域「呼吸器科」「耳鼻科」「泌尿器科」におけるプレゼンスの高さ(FC:フランチャイズカスタマー戦略)
  • 持続的な成長を実現するFC領域の製品ポートフォリオ
  • エリアマネジメントとチーム制による医療機関に対するきめ細かな対応
  • 感染関連事業として予防(ミルトン、ルビスタ)、診断(GeneSoC®)、治療(ラスビック)に貢献する製品群を有する(ソリューション提供型)
  • 成長ドライバーとなるフルティフォーム、デザレックス、ベオーバ、ラスビックの新薬群が出揃い、売上拡大の大きなチャンスを迎える
  • 迅速、的確、簡便に病原微生物を同定できるマイクロ流路型遺伝子定量装置「GeneSoC®」および診断薬の開発により、感染関連事業において予防、治療に加え課題の解決策を提供できる
  • MR訪問規制や完全アポイント制が進み、医師の情報入手方法がこれまでの対面形式からネット経由などに変化
  • 薬価制度の抜本改革による長期収載品の売上減少。求められる国内医療用医薬品市場の構造変化への対応力
新中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-」
医療用医薬品事業と感染関連事業を複合した、ソリューション(課題の解決策)提供型に変貌し、医療関係者に対してキョーリン独自の貢献をする 新薬群の成長を最大限に加速する(フルティフォーム、デザレックス、ベオーバ、ラスビック等) ヘルスケア事業は、感染関連を中心に事業を集約化する
ソリューション提供型の営業スタイルへの変貌

感染関連事業を融合したソリューション提供型の活動を開始し、医療関係者に対してキョーリン独自の貢献を行います。具体的には医療関係者の中でも特にICT(感染対策チーム)、AST(抗菌薬適正使用支援チーム)に属する医師、薬剤師、看護師に、予防では「ミルトン」「ルビスタ」、診断では「GeneSoC®」、治療では「ラスビック錠」「KRPAM1977Y」(2020年度発売予定)をトータルで情報提供し、キョーリンのオリジナリティー発揮による独自の貢献を目指します。

キョーリン製薬グループの感染症対策への取り組み

当社グループは、新中期経営計画「HOPE100 −ステージ3−」において、予防・診断・治療の感染関連事業モデルの構築を目指しています。グループ横断的な営業体制を確立するとともに、国際的なAMR(Antimicrobial Resistance:薬剤耐性)問題※への対応として、薬剤の適正使用への積極的な取り組みにより、医療関係者に対して、キョーリン独自のアプローチで貢献していきます。

「世界の人々の生命を脅かす薬剤耐性菌」のグラフ

※世界の人々の生命を脅かす薬剤耐性菌

抗菌薬の不適切な使用を背景として、薬剤耐性菌が世界的に増加する一方、新たな抗菌薬の開発は減少傾向にあり、国際社会でも大きな課題となっています。このままの状況が続けば、薬剤耐性菌感染症による全世界の年間死亡者数は、2013年の約70万人から2050年には、約1,000万人まで上昇するとの予測もあり、現在、世界規模でAMR対策が進められています。

(Antimicrobial Resistance: Tackling a crisis for the health and wealth of nations The Review on Antimicrobial Resistance Chaired by Jim O’Neill December 2014 を改変)

感染関連事業モデルの確率

治療呼吸器・耳鼻咽喉科感染症治療に貢献する

「ラスビック錠」の写真

「ラスビック錠」

全身曝露を抑えながら治療ターゲットとなる原因菌に十分な抗菌力を有し、耐性菌を発現し難いキノロン系抗菌剤として開発した経口抗菌薬「ラスビック錠」。当社グループでは今後、医師、薬剤師をはじめ、臨床検査技師等を含めたICT(感染対策チーム)、ならびにAST(抗菌薬適正使用支援チーム)への情報提供活動を推進するとともに、AMR対策アクションプランに基づく薬剤耐性菌の動向調査や学会サーベイランス事業等への協力、感染症関連学会や研究会等への協力・サポートを介した抗微生物薬適正使用の普及啓発活動を進めていきます。

診断迅速・適確・簡便に原因微生物を同定し、
感染拡大防止や抗微生物薬の適正使用を実現する

「GeneSoC®」の写真

「GeneSoC®」

新型コロナウイルス感染症の蔓延やAMRの拡大防止等の観点から積極的な原因微生物のスクリーニング検査が求められています。また抗微生物薬使用の必要性を検査結果に基づき正確に判断するなど、効果的な薬剤の処方および中止ができる院内体制の整備が重要と考えています。
マイクロ流路型遺伝子定量装置 「GeneSoC®」は迅速・適確・簡便に原因微生物を同定できるリアルタイムPCR法に基づく遺伝子定量装置です。現在、「GeneSoC®」を用いた新型コロナウイルス検出試薬として「SARS-CoV-2GeneSoC ER 杏林」を発売しています。今後、研究用試薬の開発、および専用自動前処理デバイス、GeneSoC® miniの開発を推進し、POCT※による適切な薬剤選択にも寄与すべく体外診断用医薬品としての早期事業化を図るとともに、食品を含めた衛生管理分野、その他の分野での活用に向けて、「GeneSoC®」のさらなる改良にも取り組んでいきます。

※Point of Care Testing:ベッド(患者)サイドで医療従事者が行う検査

予防医療機関等の感染制御に貢献する

「ルビスタ」「ミルトン」の写真

「ルビスタ」「ミルトン」

医療機関の環境中には様々な微生物が存在し、近年は環境を介して微生物が伝播することが分かっています。環境を介した微生物の伝播の多くは手指によって起こるため、手指消毒とともに環境表面を清浄に保つことが重要です。
当社では、医療機関等の感染対策を目的とした、環境除菌・洗浄剤「ルビスタ」、および消毒剤「ミルトン」をラインアップとして有しており、感染制御に貢献しています。

新薬群の成長トレンドの実現

2020年度からスタートした新中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-」の成長ドライバーは喘息治療配合剤「フルティフォーム」、アレルギー性疾患治療剤「デザレックス」、過活動膀胱治療剤「ベオーバ」、キノロン系経口抗菌剤「ラスビック」等の新薬群であると考えています。
2019年度の売上は、「フルティフォーム」が146億円と伸長しました。「デザレックス」は、製品供給を一時停止しておりましたが、2019年11月供給再開し、26億円となりました。「ベオーバ」は2019年12月に投与期間制限が解除され43億円となり、当初予想を上回るスピードで処方が進みました。自社創製の「ラスビック錠」は2020年1月から販売を開始し、11億円と順調な売上推移となりました。 ステージ3期間中の成長ドライバーとして最大限注力し、最終年度の目標値である売上に占める新薬群比率50%以上を目指します。

FC領域でのプレゼンスの確立

杏林製薬(株)は「呼吸器科」「耳鼻科」「泌尿器科」を中心とする特定領域におけるプレゼンスの確立(FC:フランチャイズカスタマー戦略)を目標として掲げ、医療関係者との信頼関係を大切に、医薬品の適正使用に関わる情報提供・収集・伝達活動を行っています。
また杏林製薬(株)では営業体制として「チーム制」(一定のエリアを複数のMRで担当する制度)を導入しており、チーム全体でエリアを育成すべく、多様化する医療ニーズに迅速かつ組織的に取り組んでいます。今後もこの取り組みを進化させ、お互いが助け合いチームで目標を達成する風土づくりを促進します。

-MRの体制-

「MRの体制」円グラフ

特定領域(呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科)を中心とする定期訪問先への営業活動の重点化を図っています。

-主力製品と開発中の新薬-

「主力製品と開発中の新薬」図

特定領域(呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科)における開発パイプラインの拡充と医療関係者との強固な信頼関係構築により、新薬事業を強化しています。

デジタルチャンネル/AIを活用した情報提供

2019年4月から施行された「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」および新型コロナウイルス感染の拡大により、これまでの情報提供のあり方が大きく変わり、提供する内容や方法の変革が求められています。この大きな流れを踏まえて、杏林製薬(株)では医師との面談をこれまでの中心であった対面形式のみならず、デジタルチャンネルを多面的に活用して情報提供活動を行っています。情報の提供・収集・伝達の媒介として積極的にデジタルチャンネルを活用する中で、自社で有するメディアを進化させるだけでなく、他社のプラットフォームを通じた情報提供を最適化していきます。また社内で集積した営業データを統合することで、医師への情報提供の質の向上を目指します。
またMRの営業スキル(ニーズ把握)のレベルアップとして、AIによる営業トークの論理分析を行い、MRスキルの向上へ活用していきます。

一般用医薬品

多様化する健康ニーズに応え、安心して使用できる一般用医薬品の提供に取り組んでいます。

多様な健康ニーズに応える一般用医薬品

「一般用医薬品」の写真

2017年1月から導入された「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」により人々の健康意識は向上しています。当社グループでは、医療用医薬品の有効成分を一般用医薬品に転用した「クールワンシリーズ」を販売しています。プロモーションにおいては、医療用医薬品で蓄積された有効性・安全性情報を適正に提供できることから、高い評価をいただいています。今後も多様化する健康ニーズに応えることができる製品の提供を進めていきます。

※クールワンせき止めGX/液およびクールワン去たんソフトカプセルはセルフメディケーション税制対象医薬品です。

医薬品製造受託事業

~生産~

薬価制度の抜本改革に向けた基本方針のもと、実施された薬価制度改革は、当社グループの製造体制にも大きな影響を及ぼしています。長期収載品の売上減少、後発医薬品の市場拡大等、国内医薬品市場の急激な構造変化による収益性の低下が想定される中、当社グループは、グループ内の3つの生産機能を集約し全体最適化を行うことで、これまで以上にスピード感をもってローコストオペレーションを推進できる製造体制を構築しました。新中期経営計画「HOPE100−ステージ3−」では、これまでの取り組みをさらに推し進め、自社グループに高品質な製品を安定的に低コストで供給するだけでなく、グループ外からの受託生産の拡大を可能とする競争力のあるグループ製造体制の構築に取り組みます。

強み 機会 リスク
  • 省人化、自動化による大量生産技術、グローバル基準に適合するGMPの運用、多品種生産を行う機動力等の特徴をもち多様なニーズに対応可能
  • 無菌製剤である注射剤、点眼剤、点鼻剤の生産能力を保有
  • 外資系企業の国内参入による受託製造のニーズ拡大
  • GE医薬品の使用拡大による需要への対応
  • 薬価の頻回改定による収益の低下
  • 求められる品質レベル向上への対応によるコスト増加
  • 災害などでの原材料調達先からの納入の遅延や停止、物流機能の停滞による安定供給の不履行
新中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-」
安定供給と低コストを実現すると共に受託製造の拡大も可能にする、製造体制を構築する
新中期経営計画の施策
さらなるコスト競争力の向上に取り組む

新中期経営計画では、医薬品の生産に関わる事業において、工場間の人材交流や情報共有を行いつつ、人材マネジメントシステムの構築・運用により改善・改良への技術と意欲の醸成・実践を図ること、GMPのレベルアップを推進すること、また新たな生産拠点の構築を含めた生産力(能力、効率)強化と外部機関も活用した安定供給体制を整備することに取り組んでいきます。これらの取り組みにより、高品質の製品を安定的に低コストで供給できる強い競争力を獲得し、安定感のある製造体制を確立します。そして、グループ外からの受託の拡大にも注力し、強固な生産基盤の構築を目指します。

サプライチェーン・マネジメント(SCM)

環境変化に対応する強固な収益力の確立を目標として掲げ、キョーリン製薬グループ全体でサプライチェーンを包括的に捉え、需要変動にフレキシブルに対応し、より効率的な生産と安定供給を実現する体制づくりに取り組んでいます。国内外における原材料調達から生産(生産管理、製造)、在庫、供給(出荷)までを製品ごとに管理(見える化)するサプライチェーン・マネジメント(SCM)を推進し、発注から納品までのリードタイム短縮等の課題への迅速な対応により、安定供給に対するリスクの軽減を図り、確実で安定した製品供給を実現します。

キョーリン製薬グループ工場(株)の各工場の特徴
能代工場:自動化によるローコスト大量生産

「能代工場」の写真

能代工場は、原料・中間製品を自動搬送するフロービンシステムや省人化を実現したロボットアーム等を採用することにより、自動化による高い生産性を有するローコストでの大量生産を可能にしました。現在は、この強みを活かして、錠剤やカプセル剤を中心として、新薬のみならず、生産数量の多いジェネリック医薬品の生産も行っています。また海外当局や海外グローバル企業のGMP査察もクリアするなど、高いレベルで生産活動を行っています。

滋賀工場:グローバルGMPに対応した受託生産を中心に

「滋賀工場」の写真

外資系製薬会社の生産拠点として数十年におよぶ歴史を持つ滋賀工場は、キョーリン製薬グループの主力製品の生産に加え、外資系製薬会社の日本向け医薬品の製造等、グループ外からの受託比率が高いことが特徴です。クロスコンタミ防止等を意識したグローバルGMP に対応する生産施設として最新設備の導入を進めることで、時代のニーズに対応した生産を可能にしています。海外グローバル企業からの豊富な受託経験とノウハウを活かし、生産設備の増強を推進して、グループ外からの受託拡大を積極的に進めます。

井波工場:ジェネリック医薬品を中心とした多品種生産

「井波工場」の写真

井波工場はジェネリック医薬品を中心として、内服固形剤のほか、無菌製剤である注射剤、点眼剤、点鼻剤といった様々な剤型の医薬品を製造しています。多品種生産に対応できる機動性が強みで、年間2回上市される多様な新規追補品に適応しつつ、グループ外からの受託も含めて200品目以上を生産しています。高い頻度で行われる委託元の製薬会社からの査察等を通して、高品質な製品を安定的 に供給するノウハウを蓄積しています。新たな製剤に対応するための設備投資とともに、生産性向上のための改善活動を積極的に推進し、コスト低減に取り組んでいます。

後発医薬品

GE事業

「ジェネリック医薬品」商品画像

当社グループでは、キョーリン リメディオ(株)を中心にGE事業を展開しています。後発医薬品80%時代においても、環境変化へ対応すべく、開発、生産、販売の機能を合わせもつメリットを活かすとともに、新薬系GEメーカーとしてオーソライズド・ジェネリック(AG)の取り扱いを積極的に推進し、さらに営業体制の効率化により、コスト競争力の向上に取り組みます。

強み 機会 リスク
  • 開発、生産、販売の機能を一貫して行うことができる
  • 新薬系GE企業であり、オーソライズド・ジェネリック(AG)を取り扱う
  • GE医薬品のさらなる普及促進策の実施
  • 地域包括ケアシステムの推進
  • 新たな医療費抑制策の実施
  • 薬価の毎年改定による収益への影響
新中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-」
GE営業体制の効率化によりGE事業のコスト競争力を高める GE新規追補品の創出力を強化する

新中期経営計画の施策

オーソライズド・ジェネリック(AG)への取り組み

当社グループは医療関係者や患者さんの様々なニーズに応えるべく先発医薬品、AGの両方をグループ内で取り扱い、順調に市場に浸透し一定の評価を得ています。「キプレス」のAGであるモンテルカスト錠「KM」を2016年9月、「ナゾネックス」のAGであるモメタゾン点鼻液50μg「杏林」を2019年8月に販売し、現在それぞれGE内シェア50%以上を獲得しています。2019年8月には「ウリトス」のAGであるイミダフェナシン錠・OD錠0.1mg「杏林」の製造販売承認を取得し、2020年6月に発売いたしました。

新規追補後発品の創出力の強化

キョーリン リメディオ(株)では、安心してご使用いただけるGE医薬品をお届けするために、医療関係者、患者さんの立場に立ち、医療現場での使いやすさや患者さんの服薬のニーズに応える製剤や包装の工夫を行ってきました。2017年7月に稼働した「高岡創剤研究所」では、製剤開発の質の向上とスピードアップを図るとともに、これまで以上に開発製品の増加に取り組み、魅力的で特徴あるGE医薬品を提供するGE企業を目指しています。2020年6月は、8成分15品目の新規追補品を上市しました。

GE 営業体制の効率化による事業コスト競争力の向上

キョーリン リメディオ(株)では、バランスの取れた複数の販路を通じた販売を強みとしてきましたが、今後はその強みを活かしながら、GE営業体制の効率化を図り、選択と集中により販売力とコスト競争力を高めていきます。

海外向け事業の強化

キョーリン リメディオ(株)では台湾、香港、韓国へ点眼薬を中心に完成品を輸出していますが、今後アジア地域では経済発展、所得向上に伴いより良い医療へのアクセスを求める動きが進み、日本の高品質な医薬品に対する需要が高まると考えています。キョーリン リメディオ(株)ではこのような需要をいち早く捉え、ベトナム、台湾、香港、モンゴル等に向けて技術供与や輸出を行い事業を強化していきます。